セレモニーホール 岩倉

お葬式のいろいろ

密葬と本葬

「密葬」とは近親者だけで営まれる葬儀のことです。一般の会葬者からの弔問を受けるのが告別式ですから、一般の人々には葬儀を案内しないので、告別式を行いません。
年末年始にかけて死亡したときは近親者だけで密葬をし、松が取れてから皆さんに案内して本葬をするというのが今でもあります。

会社の経営者が死亡して社葬にするときは、多方面に案内したり運営の準備に時間が必要なため、死亡直後は近親者で密葬をし、1ヶ月ぐらい後に本葬として社葬をすることがあります。
しかし最近では、本葬を行うことなく、近親者での密葬だけで終わりにする場合もあります。この場合、故人と親しかった人たちが「お参りできなかった」と悔いたり、後から「せめてお線香を」と自宅を訪れる人が少なからずいて、遺族が大変な思いをするケースもあります。

家族葬

日本のお葬式の原型は地域共同体葬にあります。葬儀となると遺族は死別の悲しみの中にあるので、遺族は死者の弔いに専念させて、運営その他雑事は全て隣近所の地域共同体が取り計らうというものでした。
まだ、地域がお葬式を取り仕切っているところもありますが、都市化が進み、地域共同体のつながりも薄くなり、葬儀も個人化してきたところも少なくありません。
高度経済成長期以降、地域共同体の力が弱まる一方、葬儀も社交化して会葬者が増加し、一般的な個入葬で平均会葬者数が約200人になりました。そうすると遺族は参列者や会葬者の接待に忙しく、死者の弔いに専念できないという不満が出てくることもあります。また会葬者の3分の2は生前の故人を知らない人で占められるようになり、寂しい思いをすることもあります。
そこで生前の本人をよく知る人だけで葬儀をしたいという希望が出てきて、その支持を集めているのが「家族葬」です。
この家族葬は新しい用語ですから厳密な定義がありません。文字通り家族だけで営むものから、親戚や本人と親しかった人が加わって行うものまであり、人数は平均30人程度で80人を上回らないものです。
かつての表現では「密葬」ですが、「密葬」という言葉は閉じた暗いイメージがあるのに対し、「家族葬」は本人をよく知る人だけで、ゆっくりと本人と別れる時間をもち、親密に送りたいというイメージがあります。
宗教的には無宗教葬もありますが、多くの場合、僧侶等の宗教者を招いて営まれます。
でも、この家族葬は、一歩間違うと大切な地域のつながりを切ったり、故人の大切な友人・知人に連絡がいかなかった、という問題も発生することがあるので、注意が必要です。

お別れ会

無宗教葬の場合、「葬儀」とよばずに「お別れ(の)会」あるいは「偲ぶ会」とよぶことが一般的です。 しかし、一般に「お別れ会」方式とよばれるものは、死亡直後には近親者で密葬を行い、1ヵ月ぐらい後に本人の知人・友人に集まってもらいお別れ会を行うものです。密葬では本人や家族の宗旨に基づき宗教儀礼を行うことが多く、お別れ会では無宗教方式が多いようです。

伝統的葬儀の見直し

今葬儀は大きな変革期にあります。一般的な葬儀というのも宗教儀礼のもつ意味が減少し、人と人とのつながりが弱くなり、通夜の告別式化に見られるように合理性・便利さのみが追求されるようになってきているように思われます。
かつて伝統的に守られてきた葬儀には大切なものがあります。「古い」と片付ける前にもう一度考えてみましよう。
第一は宗教性です。これは大切ないのちの終焉という事態に対して、神や仏の前でいのちの行方に厳粛に対峙する時であったからです。
この宗教性が失われることにより、葬儀が軽くなりイベント化してきているように思われます。
第二は共同性です。人は一人で生きているのではありません。家族、親戚、地域の人、友人、知人との関係で生きています。「暮らし」と言ってもいいでしょう。人の死にあたってお葬式に参加する者も自分と死者との関係をもう一度考え、一緒に送るということが大切でしょう。いま葬儀から暮らし、人と人の関係の温もりが失われてきているように思われます。
第三は遺族の悲しみへの配慮です。昔の葬儀で隣近所が総出で手伝ったのは、遺族がいま危機状態を迎えており、遺族が弔いに専念できるようにとの配慮からでした。また、隣近所の葬儀に参加することで、遺族の悲しみの深さを共感できるようになったと思われます。
この宗教性、共同性、遺族の悲嘆への共感の3つがもう一度見直されないと、お葬式から大切なものが失われるのではないでしょうか。お葬式が多様化するのは時代の趨勢ですが、お葬式が単なる死体処理にならないよう注意することも大切でしょう。

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