立ったままビデオデッキ

立ったままビデオデッキのリモコンを操作して再生状態にしてから、ベッドに寄り掛かるようにして座った。始まった洋画を眺めながら、焼酎のウーロン茶割を作り飲み始めた。ベッドの横のカーテンが少し気に掛かる。かなり汚れてきたようだ。身体を伸ばして手で持って嗅ぐと何かすえ臭い。

 それにこの状態ではカーテンの意味が無い。隣の建物との僅かな隙間に誰かが侵入して俺の部屋を覗く、とは考えにくい。この部屋は日当たりが悪いせいだろう、カーテンを開けて隣の建物を見る。特に何も無い。隣の建物とは三十センチ位だろうか、その建物の壁だけが見える。もっと隙間があればこの部屋も風通しが良くなるのに。

 そう思うのだが、そのカーテンを閉めた。誰かが覗くかもしれない、そんな事を今日は思ってしまう。もっとも俺の性格でもある、カーテンが開いていると何故か気になってしょうがないのだ。そんな俺は時間が経つにつれて焼酎のウーロン茶割を飲むピッチが上がってきていた。

 その事に気が付かずにいると、いつの間にかビデオの洋画は終わっていて、お笑いの番組が始まっていた。それまでの洋画の内容を覚えていない事と、いつの間にか自分がベッドの上に寝転がっている事に気が付き、頭を動かし床に置いた目覚まし時計を見た。時計の針は夜中の一時を指していた…結構時間が経っている計算になるに続く。